[設立趣旨書]
平成19年7月19日
子どもたちをめぐる環境が著しく悪化しています。新聞やテレビでは、いじめ、不登校、親の養育放棄、大人からの虐待など、子どもに関する不幸な事件が毎日のように報じられています。かつて日本では当たり前のことであった、相手との調和を図る、相手を慮るという行為が、現代では忘れられようとしていることのあらわれではないでしょうか。
囲碁という日本の誇る伝統文化を通じて、子どもたちをめぐる環境を何とか変えることができないだろうか、と集まったのが我々「ライフこども囲碁クラブ」です。近畿圏内の各地域の高齢者を中心とした囲碁愛好者たちが設立した個々のボランティアグループで構成されています。
・豊かな心と夢を持ち21世紀を担える子どもたちを育む
・高齢者の方々に子どもたちとの交流と社会参加の場を作る
・地域社会の人々の子どもたちを育む願いと活動に協力する
の3つの社会貢献を目的としています。
これらの目的を完遂するため、我々は活動の「核」というべき独自の子ども向け指導方法の研究を重ねてきました。子どもの心をつかむために、指導者相互に研修を繰り返し、その成果を実践。その結果、子どもたちは囲碁を楽しみながら自然に礼儀・作法が身につき、相手を思う気持ちが育つなど、たくさんの効果があることを確信いたしました。また、地域の子どもの居場所づくり、健全育成に役立つだけでなく、地域の高齢者にも子どもとの囲碁を通したふれあいが張り合いとなり、地域社会の教育力の醸成にも役立ちます。
また我々の活動は、伝統文化を継承するという役割も果たしています。中国で生まれた囲碁は5世紀ごろまでに日本に伝えられ、幅広く浸透しました。以来、日本は世界で最も囲碁の盛んな国であり、最もレベルの高い国でした。単なるゲームではなく、日本が世界に誇る伝統文化の一つです。今や囲碁は世界的規模で急速に拡大、普及しています。「手談」という別称のとおり、囲碁は国、言語、宗教、人種などの違いを超えるコミュニケーションツールとして、世界から注目を集めています。
ところが日本では退潮の兆しを見せています。第2次ベビーブーム以降、戦後の経済成長を背景に趣味や娯楽が多様化。囲碁に限らずあらゆる伝統文化に、子どもたちが触れる機会が減少しています。特に囲碁の場合、教え方が難しい、上達に時間がかかるなどという風評があり、教える側にも教えられる側にも、その壁を高くしていることは否定できません。このままでは日本のお家芸とも言うべき囲碁が廃れてしまいかねません。次の時代を担う子どもたちへの囲碁の普及が、日本における囲碁文化の中興となるはずです。
子どもたちの環境の良化、伝統文化を受け継ぐには、活動の中心となるボランティア指導者の士気を高めることが必要です。組織の一員として自覚と責任を持ち、組織の更なる拡大発展のために、同クラブが主催する独自の大会展開や、海外の子どもたちとの交流など新たな事業を始めます。また、財政基盤の安定、社会的信用性の確立を図るために法人としての「ライフこども囲碁クラブ」を設立します。 |